reality ability‐第6話‐集められた“過去(しんじつ)”‐-9
「この世界にそもそも“幻想の力”は無かった。しかし、約100年前に“ある神”がその力を教えた。知詠神と運命神にな。」
皇希は約100年前の出来事を知っているようだ。まるで、その様子を見ていたように言った。司樹菜が動揺した。
「‥‥名は“無神 絢音(むがみ あやね)”。“第一世界、始永界(しえいかい)”の“神”で俺の‥母親的存在だ。今は殺されているがな。」
『!!』
「‥‥‥」
「‥‥“第一世界”?何よ、それ?」
一同はまた騒然とするが、凰輝と織音は違っていた。
凰輝は少しであるが、完全に信じてないような表情だった。有り得ない事だと思っているようだ。織音は不思議に思い、疑問を皇希に言った。
「‥‥凰輝さんは聞いたから知っている。この世界は“第三世界、幻想界”。‥‥世界は七つある。が、次元を越える“禁断詠唱”が必要だ。」
皇希は相変わらず、はっきりした口調で言う。その自信は揺るがないモノだった。
「最後にこの世界の特有の事‥‥“刻印”だ。俺の背中にある【真】もその一つ。‥‥“カオス”も所持している。」
『!!』
四天王が驚く。いや、例外がいた。誑笥が睨みながら喋る。
「‥その輝きは“カオス”様の背中にもあった。理由が知りたい。‥‥言えよ!“真実”を!!」
誑笥が殴ろうと襲ってくる。しかし、皇希は凄まじい威圧感でそれを止めた。
「やめろよ。」
「っ!!」
誑笥は雰囲気に呑み込まれたようで、攻撃を止め数歩下がった。
「今は言わない。第三世界の者なら誰にでも何かを持つ可能性がある。」
皇希の背中の刻印、【真】はこの世界特有のようだ。理由は言わなかった。
「‥‥そろそろ、覚醒する。四天王たちは‥螺樹、お前に任せた。」
皇希は流し目で見ていた。螺樹は先ほどからの混乱の表情から真剣な表情に急変した。
「‥解りました。出来る限りの軽い罰でいいんですね?」
螺樹は歩き玉座に座ろうとする。その威風堂々した態度に皇希は動揺する事なく喋る。
「ああ。‥‥それでいい。」
それは聞いていた誑笥が喋り出した。
「お前!軽い罰だと!ふざけるな!!殺せ!」
誑笥はまた怒りの声だった。しかし、皇希が鋭く睨む。
「な、なんだよ!」
誑笥は先ほどの威圧感の事があったからか、睨まれるだけで弱気になった。
「‥死には必然的な要素がある。今、ここで死ぬな。お前らは罪を償うんだな。じゃあな。」
「‥‥‥」
皇希は足元にある“記憶の欠片”を持つと出口へと歩き始める。すると、凰輝が喋る。