reality ability‐第6話‐集められた“過去(しんじつ)”‐-7
「‥しかし、これが現実ですぅ。初めましてぇ、統神 零歌です。口調は気にしないでねぇ。“まだ”子供だから舌が動かないんですぅ。」
女性特有の高い声で彼女の特有ような口調だった。間違えなく零歌だった。その姿からは想像出来ない口調はアイデンティティーだろう。
「‥‥まさか‥でも‥‥しかし‥」
梛も回復したように考えるように言った。
「梛さん、正解ですぅ。ワタシは“皇”によって作られた“生命(いのち)”。疑似人格を与えられた“無限の無”。」
零歌の表情は先ほどの未来の皇希の普通の表情と同じように優しさと厳しさが混ざったような表情だった。
「そういえば、彼はどうなっているの?」
梛は不安感を持った表情になった。攻撃を受けた身でありながら、未来の皇希を心配していた。
「優しいですねぇ〜。大丈夫ですぅ。ワタシの中で《出せ》と怒ってますよぉ。」
真剣なんだろうが彼女の口調でどうも気が抜けてしまう。
「なんで助けたの?私は殺されてもいいと思って、勇気を持って言ったのよ?」
「それじゃあ、凰輝さんが可哀想ですぅ。貴女には知ってもらいかった事でしょう。それに、ワタシが出なくても“皇”は貴女に謝り“罰”を受けたと思いますぅ。」
零歌は笑顔になり言った。解っていた事だが、敢えて出た理由は凰輝に対する行為と梛の勇気に惹かれたといったどころか。
「ありがとう。これ以上言ったら、ここにいる全員が危険ね?もう詮索はしないわ。」
梛は危険と感じたようで詮索をやめた。
「‥‥梛さん、ワタシが代わりに答えますぅ。“皇”はこの“力”を使って破壊もしません。ですが、平和に使うような事はしないと思いますぅ。しかし、“皇”が“真実の気持ち”に気が付いたら“答え”が出ます‥‥」
彼女は一息つくと辺りの雰囲気が変わる。彼女を中心にガラリと変わり始める。
「‥‥それは“天命神”としての自覚を持ち善人か、“全てを創造し全てを破壊出来る者”の自覚を持ち悪人になるかの二者択一です。」
四人は零歌の雰囲気に呑み込まれていた。手に汗をかき瞬きも出来ずに見て聞いていた。
「‥‥そろそろ帰りますねぇ。“皇”が本気になったらぁ、ワタシでさえ人格を奪われて危険ですから〜。‥‥では〜‥‥」
そう言って消えた零歌だった。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
司義莉と梛の二人は互いに頷いた。何を以心伝心したんだろうか?
「“人間”たちよ。‥いや、和昂と真里祢よ。保護するためにも俺に付いてきてくれるか?」
司義莉は“人間”を訂正して名前で二人を呼んだ。決意の現れなのであろう。梛は微笑んでいるから攻撃的になる事はないだろう。