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冬空
【大人 恋愛小説】

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冬空〜第三章〜-1

外を見た…
今日も冬空が一面に広がっていた…

彼と会わなくなってどの位経つかな…
今日が何月何日かさえも思いだせない…
ただ日々家事と子供の世話をして淡々と過ごした…
彼からは何度も電話が鳴った…
電話に出たい気持ちと格闘しながら耳を塞ぐ…
奥さんからは毎日の様に電話が鳴った…
どんなに忙しくても自分への罰なんだと言い聞かせ電話をとる…
ひとしきり文句を言われた後今度は泣き落としに変わる…
何度も私だって好きなんだから…
そう叫びたいのを我慢して黙る…

何でこんな恋したのかな…誰か助けてよ…

心って壊れるのかな…
ミシミシ音をたてる
いっそ消えてなくなりたい…
何もかも消えてなくなればいい…

私は一人夜中に膝を抱えては声を殺し泣いている…

初めて彼と会った時の事をもう何年も経つのに昨日の事の様に思い出す…
はないちもんめで体を暖めるココアを飲みながら少し落ち着く…
彼は窓の外の雪を見ながら独り言のように語りかけながら話しだした…
『ここは思い出の場所です…学生時代に付き合ってた女の子とよく帰りにここに来て語り合ってました…コロコロ笑う子でいつも僕達は時間を忘れてたわいもない話しを飽きる事なく語り合ってました…丁度雪が降る日の夕方待ち合わせの時間にちょっと早く着いた僕は彼女が来るのを待ってました…でも来なかった…ううん来れなかった…雪道を飛ばす車にはねられて即死でした…あれから僕は人並みに就職し結婚して二人の子の父親になりました…一度もこの街に来れなかったのに今日会社が終わってむしょうにこの街に来たくなって来たんですが昔と余りに違い過ぎてここに辿り着けなくて途方にくれてた時に何か消えてなくなりそうな貴方を見付けて気が付いたら声をかけてました…突然でびっくりされたでしょう…』
そう語る彼の目は心なしかうるんでました…
私は返す言葉もなくただ黙って聞いてました…
私は吸い込まれそうな彼の声に恋をした日でした…

その日はお互いに名前も聞く声もなく別れた

凍えそうに寒い日でした…


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