投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 74 秋と春か夏か冬 76 秋と春か夏か冬の最後へ

秋と春か夏か冬 11話〜『オモイカネ』〜-6

「……雪?」

まだ12月にもなっていない…季節外れの雪だった。

「…はは………美雪を手放した代わりに雪ってか………神様も…ずいぶん嫌味ったらしいな…」

「………それとも…慰めてんのか?余計な…お世話だ……」

1年前に美雪の前で泣いたことを思い出す。

恭介はその場にしゃがみこんだ。

「………痛ぇ。唇噛みすぎて…血ぃ出まくってるし。鉄の味がする………はは………しょっぱい味もするよ。けっこう…頑張ったよな俺…………もう…我慢しなくて…良いよな…」

周りの音を吸い込むように降り積もる雪。

それ以外の何かが、恭介の頬を流れていた…。




――寒い冬と一緒に…この町にやってきた雪。

――他の雪より、一際きれいで…輝いていた雪。

――危なっかしくて…でも透き通るほど純粋な雪。

――俺の心の氷を溶かしてくれた…暖かい雪。

――いつも近くにいた……優しい雪。

――俺の腕のなかにあった……特別な…特別な雪。

――美雪………。


つづく…。


秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 74 秋と春か夏か冬 76 秋と春か夏か冬の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前