秋と春か夏か冬 09話〜『大切なもの』〜-4
「…ったく。なんでメシも作ってるんだよ…」
「おはよう恭介♪」
「聞いてる?だからなんで美雪がメシを」
「おはよう♪」
「いや、だから…」
「おはよう」
「…おはようございます」
「全然おはようじゃない。もう昼だよ〜」
……言わせといて…そりゃねーだろ…。
「で、なんでメシを?いい加減答えてくれ」
「あぁ、パパさんが『だらしない愚息に暇なとき作ってやってくれ。出来ればオジサンの分も』って言ってたから♪」
クソ親父…さりげなく自分の分も要求すんな。
仕方なくリビングへ迎う恭介。
「早く食べちゃってよ。この醤油うちのなんだよ」
「自分ん家の持ってきたのか?」
「だってお隣さんだもん。その方が早いでしょ?」
…そうだった。美雪は隣のマンションに住んでるんだった。
ちなみに理緒の家はそこの角を曲がってすぐ。近所である。
「ねっ?ねっ?どぉ…おいしい?」
頼むから静かに食べさせてくれ……てかなんだ?
メニューは秋刀魚にコーンスープに麻婆豆腐に炒飯。
……統一させろ…。
作ってくれたことに文句は言えず、とりあえず食べる。
「……ウマイ…」
「ホント??良かった〜♪」
味はかなり旨かった。こいつに必要なのは常識なのだろう…。
「なにかおかしいの…自分で気付いてるか?」
一応聞いてみる。
「えっ……あぁ!」
そう言って台所に走って何かとってくる。
「飲み物なかったよね!はいコーヒー」
…もうなんでも来い。
この和、洋、中のコラボにコーヒーが合うと思ってんのか?
コーヒーを飲んでみる。
「……激甘…」
「??だって私コーヒー飲むとき甘くするもん」
飲むのは俺です……嫌がらせか?
不満を持ちつつも完食する。