秋と春か夏か冬 09話〜『大切なもの』〜-2
「…本当に良かったです。これからはまたいつも通りですね♪」
「ま、まったく。心配させるんじゃないわよ…恭介の分際で私を…私を……と、とにかく2度と心配させたら承知しないからね!」
再び笑い会う3人。
「私を忘れてるー!!!」
「あっ、冬白さんいたんですかぁ?」
「ん〜ずいぶん挑発的だねぇアッキー?」
再び牽制しあう両者。
「美雪さんが僕たちに知らせてくれたんですよ」
「びっくりしたわよ。さっき友達になったんだけどね、恭介はもう大丈夫だから会いに行こうって」
「そうそう。だから先にアッキ…恭介を呼びに行ったんだ♪でも恭介が喧嘩腰だから…」
そう言ってなぜか泣きそうになる美雪。
なぜだ?やれやれ。
「悪かったよ。おまえがアッキーって言うからだ美雪」
「まっ、そこまで恭介が言うなら許してあげようかな♪」
なんか腹がたつ。
「じゃぁこれからは4人ですね」
「うん♪あぁ休み時間がもう終わる…恭介、次の授業サボろうとしてるでしょ?ちゃんと出ないとダメだよ〜♪」
…なぜわかる?
「あら、よくわかったわね美雪。そういうことだから恭介、ちゃんと授業うけなさい。それに保健室は今日、先生いるわよ」
…お前もなぜ行く場所が保健室とわかる?
「…あ、あぁ。」
完璧に言い当てる2人の不気味さに、今日は授業を受ける恭介だった。
――それからの毎日は幸福だった。
壁はなくなり、昔と同じように話せる理緒と鈴。
俺を戻してくれた美雪。
この3人には本当に感謝していた。
それから数週間後、理緒が聞いてくる。
「恭介」
「んー?」
「美雪さんともうキスとかしたんですか?」
「ぶーっっっ」
恭介は飲んでるコーヒーを吹き出した。
「…汚いですね…いまどきそんなふうに飲み物を吐く人いませんよ?」
呆れながら言う理緒。