初夜〜The later story-1
「わたしも…秋くんが好きです」
秋くんと出逢えてから、嬉しいこと悲しいこと。
数え切れないくらい…本当に色んなことがあったけれど、やっと秋くんと結ばれることが出来たわたし。
そして訪れた週末の今日…わたしは秋くんに誘われて遊園地にやって来ていた。
そしてそれは秋くんとの、初めてのデートでもあって…付き合うという事にまだよく慣れていないわたしはひどく緊張していたんだ。
「…だいじょうぶか?」
太陽もオレンジ色に傾き始めた頃、顔色の悪いわたしの様子を秋くんが心配そうに覗き込んでくる。
はぁ…。わたしってば、どうしていつもこうなんだろう。
本当は乗り物苦手なのに、乗れるなんて見栄を張ったりしたから…すっかり乗り物酔いしてしまったんだ。
「うん…へいき…」
そう言いつつも、わたしの気分は優れない。
そんなわたしを気遣ってくれるように、秋くんは優しく肩を支えながら言ってくれた。
「どこかで少し休もう」
「ごめんね…」
「気にしないで。ほら、俺に掴まって?」
酔いをこらえながら、よろよろと頼りなく歩くわたしの体を、秋くんが支えてくれる。
いつも迷惑かけてばかりの自分に、思わずため息が出てしまう。
わたしのバカ。何でこれくらいで具合悪くなっちゃうの。
秋くんもわたしも、今日をすごく…すっごく楽しみにしていたのに…。
本当、自己嫌悪…。
「はい」
ベンチの椅子に寄りかかって待っていると、しばらくして秋くんがドリンクを持ちながら走って戻ってきた。
そしてそのまま丁寧に差し出されたドリンクに、わたしはストローに口を付けると、それをゴクゴクと飲み干す。
すごくノドが乾いていたみたい。