初夜〜The later story-4
…あっ
「あ!秋くん。あれ、あれ乗りたい」
「どれ?」
乗りたい物が決まって、わたしは慌てて指をさしてみせた。
秋くんは顔を傾けて、わたしが指す場所を見つめる。
二人が見つめていた先は、ネオンで光り輝く大きな観覧車。
「最後はやっぱり、観覧車に乗りたいな…」
「わぁ、きれー……」
観覧車から見える園内の夜景。
色鮮やかなネオンで、ひときわ光り輝く大きなメリーゴーランド。
園内中が、まばゆい程のライトで埋め尽くされてる。
「夜の遊園地ってお昼の時と雰囲気変わるんだね」
あまりの夜景のうつくしさに、わたしは思わず感動的なため息を吐く。
夢の世界に居るようで、不思議な気持ち。
嫌なこと全て、今この瞬間だけは忘れられそうな気がする。
「……」
喋る事も忘れ、夜の景色に目が釘付けになるくらい、外の景色にすっかり見入ってしまったわたし。
すると秋くんが突然、そんなわたしの隣へ腰掛けてきた。
「……?」
それに気付いたわたしは、見ていた外から視線を離し、きょとんした顔で秋くんを見つめる。
するとグイッと強引に腕を引っ張られた。
「きゃぁっ…」
何の前触れも無く、突然ぺしっ!とおでこを叩かれてしまい、わたしは思わず目を瞑る。
(なに!?なに…!?)
何でこんな事をされたのか分からなくて、わたしはおでこを押さえながら恐る恐る目を開ける。
すると隣では秋くんがムッとした顔で、わたしを見ていた。