初夜〜The later story-3
「具合はどう?」
「ん。すっごく元気になったよ。ありがとう」
眠ったおかげで、ようやく元気になったわたし。
酔いも引いたのか、顔色も良くなったみたい
「もう、こんな暗くなってる…」
長い間、眠っていたのかな…。
気が付くと、既に外は暗くなっていた。
園内は明るいイルミネーションがまばゆいほど光り、わたしは目を細める。
「でももうそろそろ帰らないと…」
「そっか…」
しばらく周りのイルミネーションを眺めていると、秋くんが時計を見ながら言った。
もっと、一緒にいたいな…。
内心、そんなワガママを願ってしまったけれど、仕方ないよね…。
わたしはショボンとしつつも、コクンと頷く。
楽しい時間だけは、あっという間に過ぎてしまう。わたしたちは現実に引き戻される。夢の時間は、もうすぐ終わる。
いっそ、このまま時が止まってしまえばいいのに…。
「…最後に一つだけ何か乗ろっか?」
考えてることを気付かれてしまったのかもしれない。
秋くんが優しく声をかけてきた。
その言葉に、わたしは驚いて顔をあげる。
「藍が乗りたいので良いよ」
「わたしが決めていいの…?」
「うん」
秋くんが優しい眼差しをして微笑んでくれるから、つい嬉しくなってしまう。
わたしは真っ赤な顔を隠しながらも、何に乗ろうかキョロキョロと辺りを見回す。