初夜〜The later story-11
「ん…」
二人の唇が重なる。
これが今日何度目のキスなのかさえ、もう分からない。
優しすぎる口付けに、わたしは自分から彼の背中へ腕をまわし、もっとと求めるようにキスをせがむ。
「んん…ふ…っ」
すると優しかったキスが燃えるようなキスへと変わり、息が詰まるくらい、わたしたちは何度も唇を重ねあう。
誰かに見られていようと、今はもう構わなかった。
「ハァ…」
飽きるくらいのキスを重ね、ようやく離れた唇。
「…もうすぐで着くね」
「…うん」
秋くんの腕の中で、わたしは寂しげに目を閉じる。
二人の乗る観覧車はもうすぐ地上へ着いてしまう。
魔法というものは、時間が過ぎればいずれ解けてしまうものだから。
「今日はすごく楽しかった。ありがとう…」
「そっか、良かった」
「でもちょっと、寂しいな…また、ここに一緒に来てもいい…?」
わたしの言葉に、秋くんは頷きながら優しく髪を撫でてくれた。
そしてギュッときつく抱きしめ合う。もう二度と離れてしまう事のないように。
秋くんの柔らかな温もりを感じながら、わたしは静かに瞳を閉じたんだ。
「ぜったい、約束だよ…」
例えばこれから先、二人の前に大きな壁が立ちはだかるとしても、秋くんとなら乗り越えられると信じたい。
世界で一番大切な人。
いつまでもその人の傍に居られるのなら、他に何も望まない。
明日も明後日も、これからもずっと…。