秋と春か夏か冬 08話〜『溢るる涙』〜-1
――休日
部活のある時間に家にいるのは落ち着かなく、出掛けることにした…。
暇なので街をぶらつく恭介。ボーッとして…つい通いなれた道を通ってしまったことに後悔する。
(ここは…)
目の前には小学生のころ、理緒と遊んでたバスケゴールのある線路沿いの空き地。
フェンスで囲まれて公園と言うには遊具がない…バスケをやりたい恭介にとっては、秘密の穴場だった。
(ここも立派なバスケコートになったな…)
そう。利用者のほとんどがバスケしかやらないため…今は立派なバスケコートになっていた。
いわゆるストリートのバスケ場である。
そこで恭介と同じくらいの男4人が遊んでいる。
(俺もいまごろ…って考えたところで俺には……)
感傷的になるので、すぐにこの場を去る。
次に向かったのは古本屋…。
(ん?これ見たかったんだよな!)
そう言ってバスケ漫画を手にとろうとする。
(…って何やってるんだか俺は…)
違う本を読み30分くらいしてから店を出る。
(やることねぇ…駅前行くか…)
そう思い小道に入ると、なにやら声が聞こえた。
「だ〜か〜ら〜!ただ駅まで行きたいって言っただけでしょ!なんで逆ナン?調子のんないで!!」
女?…気の強い女だな…………いや、俺の知り合いにはもっと酷い奴がいるけど……。
「良いじゃねぇか。ちょっとお茶しよ〜ぜ〜♪」
「もう怒った。私これでも強いのよ!泣いて謝ったって許さないから」
そう言ってパンチしようとする女。
…しかし簡単に交されて倒れてしまう。
「倒れこんじゃって誘ってんの〜?大胆だねぇ〜」
(しょうがない……助けるか)
このままだと危なそうなので助けに入る。
「おい…いまどきくだらないことすんな。しかも男4人でさ…。いまなら手ぇ出さないから…どっか行け」
(…ん?こいつらさっきバスケやってた4人組だ)
「なんだお前?いかにも自分はヒーローですって感じに出てきやがって」
「ただの暇人だ…」
「ん?おまえ見たことあるなぁ?」
男の1人がジロジロ見てくる。