秋と春か夏か冬 08話〜『溢るる涙』〜-6
――事故以来…
――いくら泣きたくても、でなかった涙…。
――もう我慢しなくて良いよと…言ってるみたいに
――美雪の肩を借り、俺の目から流れだした――
――駅へ向かう途中。
「……泣いてカッコ悪いな俺…」
「ううん…人は泣けるから涙が出るんだよ。それにすっごく泣いた後は、すっごく笑いあえる時が必ずくるんだから♪♪」
「そうだな……ところで、なんで俺にここまでしてくれるんだ?」
「ん?恭介には3つ借りがあるからね♪」
あったのか?
「…なに?」
「1つめは助けてくれたこと、2つめは友達になってくれたこと、3つめは駅まで案内してくれたこと、だよ♪」
「…どれもたいしたこと無いじゃねーか。3つめなんか今まさに途中だぞ?」
「良いの〜♪」
「じゃあ俺も3つ借りがあったよ」
「ほぉ〜…なにかな?」
「1つめは肩をかしてくれたこと、2つめは友達になってくれたこと、3つめは…」
そう言い、恭介は喋るのをやめた。
「3つめは??」
「なんでもねーよ。感謝してるのだけ伝われば良い!」
「ずるーい!」
むくれる美雪。
「それより早く行かないと日が暮れるぞ…急がなくて良かったのか?」
「あ〜っ!!!駅前にある限定20名様までのケーキセットがぁ……走るよアッキー!」
…くだらねぇ。
「はいはい。アッキーって呼ばなきゃ走りますよ……ちなみにそっちは逆方向だからな」
『3つめはお前が転校してきてくれたこと』
本人を前に、口が裂けても言えるわけなかった。
おまけ…
「…どこまでついてくるんだ?」
ケーキを買いそびれ、駅の近くの甘味処を散々案内させられた俺は、まだこいつ…美雪といる。