死の抗い2〜偽られた伝説〜-3
「実際封印を解いたところで吸血鬼の完全復活には早くて丸三年の歳月がかかる。しかし奴らが目につけたのは化け物の血だ。」
「「血!??」」
「そうだ、一度その血に触れると、血が皮膚の間から全細胞を壊しにかかる。
そして宿主が死んだら、新たな細胞を形成し始める。そうなったものは二度ともとには戻らない。」
その言葉を聞き啓達は先の惨事を思い出し、恐怖に震え憎しみに震えている。
早紀は涙を流し、辰司に問い掛ける。
「じゃあ友ちゃん達は何で私達を襲ってきたのですか?」
「血に呪(じゅ)をかけることで簡単な命令を下すことはできる。伝説を調べた奴らのことだ、先回りして悪魔祓いの子孫を先に殺してしまおうとでも思ったのだろう。また襲われるかもしれないから気をつけろ。
また二人を殺したあと胸に十字架を置いただろう。あれで死後の苦しみを和らげられるといわれている。」
しばらく黙っていた啓が口を開いた。
「俺達はこれからどうすればいいんだ?」
それに雄介も尋ねた。
「血に対抗する方法はあるんですか?」
「俺達はまず長崎へ向かう。長崎は江戸時代から基督(キリスト)関係の組織が多い。そこの吸血鬼対策の組織ー俺達の遠い親戚にあたる人物に会いにいく。
血の呪いから逃げる方法は今だない。だが神父の血が濃い俺達は抗体ができている。また一般人にも血が効かない例がいくつもあったらしい。
残念ながら二人はそうでなかったか…。
やつらは悪用して特定の部位の強化のみの使用方法を人体実験で開発したらしい…。」
早紀が思っていたことを聞いた。
「私達の家族や村の人々はどうするのですか?まさか見捨てたりは……。」
「それは早紀ちゃん、君の両親にまかせてある。俺は最後の希望の君達を守り、鍛えるためにこれらの神具を持って、君達を追って来たのだ。」
辰司は車の後部座席から幾つかの神具と呼ばれるものを持ってきた。
「神具って何なんだ?」
「神具とは吸血鬼やそれに使役された屍鬼(グール)の持つ圧倒的な力の差を縮めるための聖なる武器だ。幾つもあるのだが、今手元にあるのは神原君の持つ警棒と俺が使った聖霊弾を二つ、簡単な呪を唱えられる指輪と一振りの刀だ。
武器の力を引き出せば、十分たいこうできるだろう。」