死の抗い2〜偽られた伝説〜-2
「死体を調べると血が一滴も残っていなかった。それを見た皆は恐怖した。村人は『吸血鬼』に襲われたのだ。」
「まさかそんなことあるわけないだろう、今は21世紀だぜ!?」
「そうですよ。おじさんの話でもそこまでは…。」
しばらく黙っていた雄介が口をひらいた。
「俺はじいちゃんから聞いてある程度は聞いているんだ。
クロ、架城、否定したいのはわかる。でもそれを否定するのは順番が違う。さっき君達が味わった命の危機と豹変した二人のことが先だ。」
雄介の言葉に反論できない啓と早紀。
辰司が続ける。
「神原君の言う通りだ。
話の続きだ…そこで村人達は悪魔祓いの神父を呼ぶことにした。
この神父が俺達の先祖の黒須、架城と補佐の神原の三人だ。
三人は苦戦をしいたが何とかこの地に封印することができた。それがこの山の頂上だ。この山が昔から立入禁止だったのもそのせいだろう。」
「まさか…、俺達が小学生のころ勝手に入ったせいで蘇ったのか?
俺が一時期引っ越したのもそのためなのか?」
啓の問いに辰司は顔をしかめつつ言った。
「いや、蘇ったのには他に原因がある、引越したのはただの会社が遠いという俺の都合だ。」
早紀は苦笑しつつ辰司に尋ねた。
「おじさん、原因とは何なのですか?」
「ある組織があってな。その組織が吸血鬼の情報を掴み、それを悪用して世界を我が手にという野望を持っているという情報が入ったんだ。
だから今年は啓、お前に俺達一族が持つ運命と代々伝わってきた予言を伝えようと思って、ここに来たのだ。だが、組織が動きだし、数日前に吸血鬼の骸(むくろ)を奪われたとの情報が入ったんだ。」
さらに辰司が言葉をつなげる。