年上の事情。‐9-6
そう、そうだ。
あたしは感じ取っていた。
あたしは自分よりも遥か上を行く片山に憧れていた。
立花くんはあたしのことをそんな風に想っているのを感じ取っていた。
彼に見えているあたしは強く見せているあたし。
だから、
応えることが出来なかった。
彼の前では、
自分を演じないといけなかった。
「それから、
お前考えすぎなんだよ。
まぁ、アイツと付き合ってたときからの癖なんだろうけど。もっと力抜け」
「‥はい」
はぁ〜っ
大きく息を吐いて、天井を見上げないと何かが崩れそうだった。
そして、
それと同時にあたしは気付く。
「立花、もう一度呼ぶか?」
ちゃんと、ハッキリ言わないといけない。
自分も昔、言ってもらいたかったから。
あたしは頷いた。
「仕事中にすみません」
「もう、今さら。
どうせ立花も仕事になってないだろ」
「部長、最高」
「俺に惚れんなよっ」
部長はそう言って休憩室を出ていった。
部長に惚れることはない。
だって、
あたしには好きな人がいるんだから。