秋と春か夏か冬 07話〜『ユメノオワリ』〜-3
「…秋津くん、きみは事故のときとっさに避けようとして体を捻ったんですか?」
「??あぁ…避けきれないと思って後ろに跳んで半身になりました」
「やはり…そのおかげで助かったと言っても良いくらいです。運動神経が良くて本当に良かった…」
ホッとして笑う医者が真面目な顔をして再び…話しだす。
「落ち着いて聞いてください秋津くん。きみの左腕は粉砕骨折でしてた…ですが……その時に運悪く神経などが傷付いてしまいまして……」
…ひどいのか状態は?
「程度の場合にもよりますが最悪の場合…」
「障害が残るかもしれません」
…………………いまなんて言った?
障害?
いやいや、
俺はこの前までバスケの試合をしていて
この左腕で3Pを打ったりドリブルしてた。
それで先輩たちの代わりに俺が全国へって和美先輩に誓って…
えっと、それから
そうだ。
理緒たちと打ち上げする予定だったんだ。
終わったら次の日から部活を始めて…。
なのに…
いまなんて?
【Monologue〜恭介視点】
―――それからのことはよく覚えていない。
幸いにも重い障害は残らなかったらしい…。
なんでも握力が元には戻らないとか、左腕を酷使するなとか色々…。
どうでも良かった――
ただ…これだけは……今でもハッキリと頭に残っている…。
『もうバスケは諦めた方が良い』
――――夏を経て俺はリハビリを終えた。
日常生活に問題なく…運動が出来るまで回復した。
俺は日常生活に戻った。
――――飛べなくなった日常生活に…
…バスケが軸として動いていた日常。
軸がなくなり歯車が噛み合うわけがなかった…。