秋と春か夏か冬 06話〜『先輩と暗闇と約束と』〜-5
「ここにおったんかいな」
「…和美先輩」
試合後、1人になりたかった恭介は公園のブランコに座っていた。
小さいころから何かあると、この公園のブランコで座ることが多い恭介。
「試合のこと気にしとんのか?誰も恭介のことを責めとらん。あたりまえや」
試合後、誰も恭介を責めなかった。
恭介の練習熱心をみんな知っている。
恭介のおかげでここまでこれたのを、誰もが知っていたからだ。
みんなは恭介にこれまでの感謝の念をこめてお礼を言った。
だが…それが恭介には辛かった。
「…先輩たちの代で……俺が外したせいで負けて。引退する先輩たちが一番悔しいはずなのに…責めるどころか俺に『ありがとう』ってお礼まで……」
泣きながら話す恭介。
「誰も恭介のせいで負けたと思っとらん!みんな満足してるし、悔しくないって言ってた…ホンマや」
そう言う和美先輩の目も真っ赤だった。
ここに来る前に散々泣いたのだろう。
「それに主将が…次は頼んだぞって言っとったで。過ぎたことはクヨクヨせんで次で挽回すんのが男ってもんやろ♪シャキっとせぇ恭介!!」
…本当に悔しいのは引退してしまう先輩たちのはず…ここでまだ泣いていたら……情けなさ過ぎるよな…。
「…そうですよね。次は必ず勝って全国に行きます!それが…俺が先輩たちに出来ることですよね!」
泣きやみ、笑顔で言ってみせる恭介。
「それでこそ恭介や。もう行くで!ウチらの引退記念パーティーや。主役が行かんと始まらんからな」
そう言い、恭介の手を掴んで引っ張っていく和美。
「ちょっ…自分で歩けますよ///」
「駄目や♪泣き虫さんは掴んでないと…またどっか行ってしまうからなぁ」
「泣き虫って……和美先輩…来年こそは絶対に勝ちます…今度こそ約束しますから……そしたら、あの時のことを教えてくださいね。今度こそ約束です」
「来年か…長いなぁ……まっ、ええで♪1年くらい待てない、せっかちな女でもないからなぁウチは。……でも…少し前借り貰っとこうかな…そりゃ♪♪」
和美先輩は俺の後ろに回りこんで手で目隠しをしてくる。
「な…なんすか和美先輩。いきなり…」
痛くはされてないので、あまり抵抗しない恭介。
……そして…