秋と春か夏か冬 06話〜『先輩と暗闇と約束と』〜-2
「いや、あれ以上いくと命にかかわりますんで……」
「だらしないなぁ。ほな、次はマッサージしたるからうつ伏せになり」
(逆らわない方がいい…)
体の危険察知センサーがそう告げている…。
「どや、気持ちええやろ?」
「はい。ホントに上手っすね。すごく楽です♪」
嘘はなかった。ホントに気持ちよくて…疲れがとれていくのがわかる。
しかし俺の体のセンサーが警報鳴らすほどの事態はこのあとだった…。
「しかしホンマええ身体つきしとるなぁ。細身だけど、脱げば鋼のように鍛えあげられた筋肉……ウチも触ってて気持ちええわぁ♪」
…なんかセクハラ親父みたいになってません?和美先輩…。
マッサージと言うより体を撫で回されている。
「オジサン…変な気分になってきそうや」
ハァハァ息を荒げる先輩。
完全に変態である。
「…和美先輩、冗談でもキツいっす」
「さよか?」
ハハハと笑い合う2人。
そして和美先輩が話だす。
「自分モテとるの自覚あるかぁ?カッコええし運動神経抜群やしな。1、2年はもちろん、年上の3年にも人気上昇中なんやで。
そんなん部活の後輩に持ってウチも鼻が高いわ♪」
「はぁ…まぁ手紙やらお菓子やら貰うのは増えたっす。お菓子は朝練で腹減ってるから…助かりますね。手紙は嬉しいけど…ハズいっすよ///」
「それに俺だって…和美先輩みたいな、優しく頼れる人が部活の先輩で嬉しいっす。綺麗ですしね♪まぁ、たまーに親父っぽいですけど♪」
和美先輩のマッサージの手が止まる。
「…誰かと…付き合ったりしないんか自分?」
「ん〜興味はありますけど、今はバスケで精一杯って言うか…」
「それに付き合ったら付き合ったで『私とバスケどっちが大切なの?』とか聞かれて…バスケって即答しちゃいそうなんですよね」
苦笑いする恭介。
「…なんか妙に生々しい想像してるんやなぁ。まぁそんなこと聞いてくる理解力ない女はやめとき」
「さっきも言ったけどなぁ恭介…自分はモテる。
カッコええし、運動神経抜群やからな…けどそんな外見だけじゃないってのもウチは知ってる。
優しい奴ってことも…遅くまで残って練習する真面目なところも…シュート練しすぎて時間忘れてるような馬鹿なところも……全部全部知ってる!
ウチは誰よりもあんたを理解できる自信もある!」
「ぁ…ぁの、和美先輩?どうしたんすかいきなり。なんか褒められてばっかで…くすぐったいっすよ」
急に立ち上がる和美先輩…様子が変なので俺も立ち上がる。