『my dream』-6
あれから五年の月日が過ぎ、彼女は今や日本のトップアーティストとして活躍している。世界中とまではいかないが、アジアの国々でライブツアーを行うほどになっている。そして俺は今、彼女が今日のライブを無事終えるのを待っている。ステージの裏側で。そして彼女が戻ってきた。
「おつかれさん!」
俺はそう言い、彼女にタオルを手渡した。
「ありがと!あ〜、いいライブだったなぁ〜!」
「ホント、よかったよ」
「あっ、そうそう。次のお仕事いつからだっけ?」
「今からちょうど三時間後。でも、十分ぐらい押しちゃいそうだけどね」
客席からはアンコールを求める声が絶えず、響いていた。
「よ〜し!じゃあもう一曲といきますかぁ!」
そう言うと彼女は、ステージへと駆け上がっていった。そう。俺は今、彼女のマネージャーをしている。これが俺の見つけた夢だ。あのマンションの出来事のときに彼女が見せた、あの笑顔。それを見たとき、俺は心の底から安らいだ。そして俺は思った。もう彼女を泣かせまいと。彼女にはずっと笑っていて欲しいと。だから俺は今、誰よりも近くから彼女を応援し、見守っている。そして今日、俺は新たな決心をしてここにいる。彼女を見守る。その言葉に“一生”という一言を足すために。彼女がアンコールを終え、戻ってきた。俺は静かにポケットの中の指輪を握り締めた。