秋と春か夏か冬 05話〜『今と昔と古傷の…』〜-5
《 3 years ago...》
「恭介ー」
「…ん?どうした理緒?」
走ってくる理緒。
「ハァハァ…待っていても罰は当たりませんよ?」
「あぁ悪い…少しボーッとしてた」
「…最近、練習しすぎじゃないですか?」
「そうか?でも誰かさんがうるさいから今日は軽くにしたんだけどな」
「だって朝練のために起こしに行くの大変なんですよ?それも何時だと思ってます?5時ですよ5時!…自分で起きてくださいよ」
「理緒だって委員会の仕事があるから朝早く行かないとだろ?ついでと思ってくれ」
「……委員会の仕事は7時に行っても十分間に合う時間なんですけど…」
「そう言うなって。それも明日で一応、区切りがつくからさ」
「それはそうですけど……あさってだよね?県大会…」
「あぁ。先輩たちの代がメインの年だからな。2年でレギュラーとるとカッコ悪いとこ見せられなくて…いつも以上に必死だよ」
「なに言ってるんですか。恭介はうちの学校のエースなんですから胸を張ってくださいよ」
「エースって…俺はそんなつもり全然ねーよ?
確かに得点は一番とってるけど…それは他の人たちが頑張って繋げてくれてるからだろ?シュート外しても取ってくれる人がいるだろ?
だから俺も気持よく射てるんだ。練習に付き合ってくれる部員も含めて、みんながいてのチーム…みんなが主役だよ」
「熱弁してますねぇ…恭介らしい考え方です♪…でも、こき使われるのは恭介の頼みですし、僕は平気ですが…鈴ちゃんが大激怒してるので…大会終わったら……覚悟しといた方が良いですよ」
「…あ、あぁ」
そのことを考えるとぞっとする恭介であった。
そして舞台は県大会へと続く……