秋と春か夏か冬 05話〜『今と昔と古傷の…』〜-2
「恭介くん頑張ってね♪勝ったら僕からご褒美あげる♪♪バスケうまいの?」
「ご褒美なんていらん。バスケか…まぁ中学のときにやってたよ……少し」
「ホント?じゃぁ期待してるね♪♪あぁ、女子の方もう集合してる!!また後で応援しにくるからね♪」
そう言って急いで駆けていく。
「この野郎!また夏輝ちゃんとイチャイチャしやがって〜」
やけにからんでくるな今日は…。
「別にイチャついてねーよ。あいつが抱きついてくるんだって」
「なんだその『モテるんだからしょうがないだろ?』みたいな発言は〜…おまえは今、全国のモテない男を敵に回したからな!この女たらしが」
…なぜそこまで言われなくちゃならない?
そこまで言われて流石に黙ってない恭介。
「負けても良いって思ってたが気が変わった…バスケ部のお前をブチのめして、帰宅部にやられたアホにしてやる」
完全に燃える恭介。
(ふふふ。前回は納得のいかない勝ち方だったからな…本気の恭介と決着をつけてやる)
めずらしくロン毛に乗せられてしまう恭介であった。
みんなが見守るなか
(二人のハイレベルな内容に、先生は注意することを放棄している)
恭介と拓也の1on1が始まった。
「やっと抜けられた!あっ、理緒くん。試合どーなった?」
夏輝が女子の方を抜け出してきたようだ。
「夏輝さん遅かったですね。それが…」
「そこだっ!!!」
「くっ…」
一瞬の隙をついて恭介を抜き去り、シュートを決める拓也。
「9対4で拓也さんが勝ってます。11点先取の1ゴール2点なので…拓也さんがリーチです」
「そんな…ぼくの恭介が負けてるなんて…拓也くんってそんなに強いんだぁ」
誰がいつお前のものになった?
しかし拓也のやつホントに強くなった…去年までは接戦できたのに……。
「くそ!」
「はぁーっはっは♪どーした恭介。あとがないぞ」
こいつに言われると腹がたつ…。
俺はドリブルしながら相手の隙を探す。
(フェイクを入れて3Pを…って……射てないことを知ってるのは…誰よりも…俺自身か……)
そう思い…強引に抜こうとするが止められる。