秋と春か夏か冬04話〜『夏ストーリーは突然に』〜-2
「実は…芸能界の人なのです!本人の希望もあり、訳あってこの学校に1年間、通うことになりました。喜べ、可愛い女の子だ」
おい校長。
テンション高いな。
恭介とは反対に、はしゃぐ学校の男子たち。
一番はしゃいでいたのは言うまでもなくロン毛だ。
「さぁそれでは入場していただきましょう。どうぞ〜」
本校の制服を着た女の子が横から出てきた。
『お、おぃあれ空色 夏輝じゃねーか』
『来年ハリウッドの超大作に出演が決まってるんじゃなかったのか?』
『…まじ可愛い』
ざわざわと体育館が騒がしくなる。
そして噂されてる本人がマイクを掴むと、体育館が静かになる。
そして…
「あー、あー、どうも始めまして。空色 夏輝 (ソライロ ナツキ) 16歳です。来年出る映画の役づくりのため、今日からこの学校に1年間、お世話になります」
ん?ここからじゃよく見えないけど…この声、この感じ…なんか知ってる気がする……って相手は芸能人だもんな…知ってて当然か。
ラッキー♪ ヒュー♪
歓声が沸く。
「と、ここまでは事務所と交した建前です。本音は…」
また辺りが静まる。
「愛しのある人を追い掛けてきました♪いま会いに行くからねキョウスケ!!!!」
シーーーーン
今日一番の静まり…
なんだこの嫌な空気。
あいつ今なんて言った?
きょうすけ?
キョウスケ?
あっ、俺の名前も恭介だ……いやいや偶然だ。
この学校に恭介なんて、腐るほどいる…と思う。
だが理緒は俺を見ている。
「おぃ、なんで俺を見る」
「根拠なんてないけど、ぼくは間違いなく、恭介のことだと思う」
なんだそれは…。
こうして臨時集会が終わった。
教室に戻ろうと体育館からでようとすると…なぜか検問が張ってある出入口。