秋と春か夏か冬03話〜『昼と呼び名と弁当と』〜-5
「僕は最後まで気付きませんでしたよ♪」
うそつけ。
おまえは白々しい。
「でもさすが理緒くんよねー♪天気が良いから屋上行きましょうだなんて」
「まさか恭介がいるとは思いませんでしたよ」
やはりお前は確信犯か。
あのあと結局バレて今に至るわけだ。みんな自己紹介は済んでいる。
「そういえば屋上って鍵かかってなかった?」
鈴が疑問に思う。
「あぁ。屋上は俺のお気に入りスポットだからな。合鍵持ってるんだ」
以前サボる場所を探していると、屋上の鍵が差しっぱなしだったので合鍵を作っていたのだ。
犯罪?ほっとけ。
「あんたじゃないわ。カオリンのことよ」
そういえば春野は謎だな。
「…峰不二先生…に……もらった…の…」
モジモジしながら春野は答えた。
この学校の7不思議の1つ。謎の女……峰不二 杏子 (ミネフジ キョウコ) 26歳。この学校の保健室の先生。 容姿はル〇ン三世のあの方にそっくりである。
「あぁ、あの人なら生徒に鍵でも渡しそうだ」
みんな納得である。
「くぅ〜!謎の女、峰不二杏子。たまんね〜よなぁ…あの美貌♪♪そして大人のフェロモン」
抱きつこうとして杏子にぶっ飛ばされたのを忘れたかロン毛。
余談だが峰不二………杏子と俺は親戚である。
知っているのはこの学校で理緒と鈴だけ。
話しているうちに昼休みが終わる時間。
「そろそろ僕たちも戻りますか」
理緒がそう言い、みんな屋上をあとにする。
〜それから何日か過ぎた放課後〜
拓也は部活。
理緒と鈴音は委員会。
(二人ともクラス委員)
俺はいつものように屋上で春野と話していた。
最近は前よりしゃべるようになった。
(と言っても普通の人より全然口数は少ないが)
日も暮れ始め、そろそろ帰る時間。
めずらしく春野から話しをきりだす。