秋と春か夏か冬03話〜『昼と呼び名と弁当と』〜-4
昼休み10分経過。
…まずい。こうなったら…多少汚い手だが。
「ぁ、あのさ…おれ女の子待たせてるから行かないと」
のってこいロン毛。
「なんだよ恭介〜また告白かぁ」
よくやったロン毛。
「一週間のうちに2回なんてめずらしいわね」
ナイスアシスト鈴。
「……」
黙ってる理緒…不気味である…まぁいい。
「ま、まぁ…そんなとこだ。だから行かなくちゃ。ついてくるなよ」
一応念を押し教室をあとにする。
しかし思えば…この念を押したのがまずかった……。
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「いやぁホントに春野ちゃん可愛いねぇ♪あっ、香織ちゃんって呼んでもいい?」
…こく。
春野は顔を紅くして頷く。
「春野…嫌なら嫌って言って良いんだぞ」
…ぶんぶん。
少し考え首をふる。
「あんた、この娘のお父さんみたいね」
「ほっとけ!」
「それにしてもやり方が汚いのよ。トイレや職員室に行こうとしたり、挙げ句の果てに女の子待たせてるとか。モテるのを逆手に取った最悪な手段ね」
こんなことなら素直に言えば良かった…。
「…別に嘘はついてないだろ。女の子待たせてたのはホントなんだから」
勘違いしたのはロン毛だ…まぁ誘導はしたが。
「ぉ、俺は昼休み始まってからすぐに気付いてたさ♪ははは」
うそつけ。
「危なかったわ。危うく楽しいイベントを逃すところだったじゃない。あなたが『ついてくるな』って念を押さなきゃ、気付かなかったわよ。いつもは告白だと機嫌悪く教室でてくし」
相変わらず勘の鋭いやつ。