秋と春か夏か冬02話〜春に遭うための路〜-5
「さっき和美先輩とすれ違ったわよ…ってなにシケたツラしてんのよ。……あんたのそんな顔見てると無償に投げ飛ばしたくなるわ」
ったく…どんだけだっつーの。
だが…鈴らしい。
中学が一緒の鈴は事情を知っている。
なんだかんだで気を使ってくれる鈴に俺は吹き出してしまう。
だが途端に殺気を感じ飛び退く。
ヒュン
さっきまで恭介がいた場所に鈴のカバンが高速で通過した。
「ちっ、避けられたか。相変わらず勘の良いヤツ」
…おまえもな。
「そんなとこでなに争ってるんですか」
少し呆れ口調で理緒がやってくる。
「理緒くーん♪変なヤツにイジメられてたの。助けてー」
いじめてるのはお前の方だし、お前を助ける前に挑んだ相手は立っていないと思うけどな。
それにお前の性格を知ってて助ける物好きがいるか?
恭介は心の中で
ここぞとばかりに悪態をつく。
「失礼ね。これでもか弱い女の子なのよ」
「そうですよ。それに僕が助けますよ」
…こいつらWでエスパーか…。
「さて、冗談はさておき屋上へ迎いますか」
やはりついてくる気か。
「当然でしょ。どんなモンか興味あるもの」
俺は声だしてないのに会話が成立してるよ…
俺にはプライバシーってもんがない。
「そのことなんですけど鈴ちゃん。今日駅前に美味しいケーキ屋がオープンしたんですよ。鈴ちゃん甘いもの好きだし、最近デート行ってないので行きたかったのですが…」
「もっっっちろん行くに決まってますわ!久々に二人きりですわねぇ♪♪さぁ早く行きましょう!!すぐ行きましょう!!いま行きましょう!!」
暴走気味の鈴に理緒は拉致られて行った。拉致られていく理緒の手にはピースサイン
理緒…さんきゅ。
俺は屋上へむかった。
つづく