秋と春か夏か冬02話〜春に遭うための路〜-4
〜〜そして放課後〜〜
「さぁ恭介、いざ春野 香織ちゃんのところへ迎おうじゃないか♪」
「…ところで体は大丈夫なのか?」
「ん?なんか昼休みの記憶があまりなくてな。体はあちこち傷むし…なんか知ってるか?」
「いや……ただ椅子から落ちただけだ気にするな」
…時には嘘も大事ですよね?
「それより拓也、部活は?今日は練習日だろ」
「ふん。男には部活よりも大事なことがあるんだよ。さぁ行くぞ恭『こぉぉらぁー拓也ぁ!まさか部活サボろうってんじゃないやろなぁ?』
「げっ、辻本!!」
ナイスタイミング。
「いやぁ、わざわざすまんのぉ恭介」
「いえ、部活は大事ですからね和美先輩」
この人は辻本 和美(ツジモト カズミ)
1コ上で俺の中学の時からの先輩でもある。
いまはバスケ部のマネージャーを努めている。
「どや恭介。中学ん時みたいにまた部活やらへんか?あんたなら勘取り戻せば一気にレギュラーやで♪」
ウインクしながら話しかけてくる。
「挫折した人がやり直せるほど高校バスケは甘くないですよ。…特に俺みたいな根性なしは」
その言葉の意味を悟ってか和美先輩も食い付くのをやめる。
「まっ、気が向いたらいつでも遊びに来いや♪歓迎したる。ほら行くで拓也!」
「俺には使命が、使命があるのにー!!!」
和美先輩はニコッと笑い拓也を引っ張っていった。
(バスケか…本気でやるには俺にはもう無理な話だよな)
昔を思いだし少し苦い顔をする。
少しして鈴音が入ってきた。