秋と春か夏か冬02話〜春に遭うための路〜-3
「…このロン毛ぇ!調子にのるんじゃないわよ…私に触っていい男は理緒くんだけなんだよ!!!」
鈴さん聞こえてませんよ。…たぶん。
ロン毛はとっくに夢の中だった。
「理緒くーん♪ちょっと拓也くんと話があるから借りるね♪♪」
…まだ痛めつけ足りないのか?
「わかりました。でも鈴ちゃん、拓也さんも悪気なかったんだからあんまり酷いことしちゃダメだよ」
「了解ぃ〜♪」
首を捕まれ(気絶している)拓也と鈴音は教室から出て行った。
ご愁傷さま……。
恭介は理緒の方へ視線を戻す。
「で…なにが聞きたいの理緒は」
「あれ?よくわかりましたね♪」
「白々しい。いつもなら怒ってる鈴とはいえ、ちゃんとやめさせただろ」
「バレましたか。ちょっと拓也さんには気の毒でしたけどね。時間ないから簡単に聞くけど春野さんってどんな人です?」
…やっぱりその質問か。
「…どんな人も何も放課後1回会っただけだよ。」
「うん。それで?」
「だから1回会っただけだって!。でも放っとけないっつーか……昔の自分と重なるみたいで。また会いたいって思うのは……美雪以来だな。…これで満足か?」
「うん。なるほどね」
理緒は納得したように頷いている。
頷く仕草に昨日の春野 香織を思い出し、ふと笑ってしまう。
「あれ?恭介がそーゆー顔で笑うのは久しぶりですね」
「そうか?」
「そうですよ。まぁ良い答えを頂きました。…それにしても美雪さんのは会いたいと言うより…放っておけないって感じでしたよね」
「…たしかに」
そういって苦笑した。
(おっと忘れるところだった。電話かけないとな電話。)
そう言って携帯を取りだし電話を掛け始める。