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秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

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秋と春か夏か冬01話〜春と夕日と歌声と〜-2

「あぁ、悪い。驚かせるつもりはなかったんだ。ほら」

そう言って手をさし出す。

彼女は考えているのか…しばらくして少し戸惑いながら俺の手を掴んだ。

俺は彼女を立ち上がらせる。

「なんか悪かったな邪魔して…ってどこか怪我した?さっきからずっと下向いてるけど」

…ぶんぶん。
彼女は首を横にふる。

「よかった。それにしても歌うまいな。部活の練習かなにか?」

…コクン。
彼女はもじもじしながら首を縦にふる。
……緊張してんのか?それとも俺が恐いのか?

「でもホントに綺麗な声だった。でも……初対面で失礼かもしんないけど、なぜか哀しく聴こえたな。綺麗な声だから余計に切なく感じて。あっ、そーゆー歌唱の仕方なのか?」

そう言うと初めて彼女が顔を上げ俺の顔を見た。彼女は驚いていた。

…俺も驚いた。

人形のように端正な顔立ち。腰まである長い綺麗な黒髪。その髪が夕焼けに染まって輝いている。
そしてその髪を風でなびかないように抑えている姿が…とても綺麗で…

この光景がカメラのフラッシュのように恭介の脳裏に焼き付いていた。


しばらく見惚れていると彼女が真っ赤になり目を伏せながら小さい声で呟く。

「ぁ、あの…///」

その声でやっと自分がボーっとしていたことに気づく。

「はっ…いや、なんでもない。……あ、おれA組の秋津 恭介。あんたもその上履きは2年だろ?名前は?」

「…春野 香織(ハルノ カオリ) D組…」


「D組?ってことはあの暴君、鈴音と一緒か」

「…???」

…そうだ。鈴は女の子には優しいんだった。
暴君のくせに律儀なやつ。


「春野のクラスに北条院 鈴音っているか?」

…こく。
春野が頷く。

「そいつと友達なんだ俺」

こくこく。
春野が頷く。


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