死の抗い〜始動と屍動〜-8
元拓海の攻撃を防ごうとしたとき、元友香が視界から消えた。
(どこ行った、まずいっ!?)
雄介が一瞬目を離したすきに、無防備である早紀をねらいにきたのである。
早紀は腰が抜けて立てなくなり、啓は咄嗟に早紀を庇おうとした。
(こいつを守れるなら…俺の身体なんて。)
元友香が腕を振り上げたとき、入口付近から銃声が聞こえた。
その方向を見ると啓の父が不思議な武器をもって立っていた。
元友香は倒れ、元拓海は隙ができたので雄介が警棒を頭に振り落とし、倒れた。
突然の出来事に俺と早紀は慌てていた。
「親父…ありがとう。」
啓の父--辰司は軽く微笑んで、拓海と友香の亡きがらに、胸ポケットからだした十字架を触れさせた。
するとみるみるうちに身体が灰のようになっていった。
「お前たちには聞きたいことがいろいろあるだろうが、とにかく今はここを出よう。」
そして辰司は雄介を見ると
「神原くん。君には助かった。ある程度のことは知っているようだが、しらないことも多いだろう。山道に車をつけているから、その中ではなそう。」
そういい残すと、雄介も一緒に入口の方へ向かっていった。
急な展開について行けない俺と早紀、
何故、拓海は死ななければならないのか。
何故、今年に限ってここに帰ってきたのか。
何故、俺達を殺そうとしてきたのか。
化け物とは何なのか。
聞きたいことがありすぎて、パニックになっている。
今後はどうなっていくのか
数々の不安を抱えつつ、まずは父親に追い付こうと早紀の手を引き、入口へと歩きだして行った。
〜続く〜