reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-8
「気が付いたか?‥‥流石は四天王。その力は伊達じゃないな。」
部下だった者が手を挙げた。それに反応して、暗く所から四名の手下が出てきた。
変わった所がない普通の手下だった。誑笥を殺すための様々(さまざま)な武器を持っていたが、いたって普通の手下。
誑笥を囲むように動く。誑笥は先ほどの行動でこの“記憶の欠片”が置かれたであろう場所の壁に近づいていた。
この場所だけは他の別れ道の場所と違い、かなり大きかった。それに壁には何かの文字が彫られていたのだった。
それはそうと、誑笥が圧倒的な不利に思えた。四名の手下はどうにかなるとしても、誑笥同等かそれ以上の力を持った部下だった者が倒せない。
「‥‥‥」
誑笥は剣を構えていたが、余裕はない表情になっていた。
「‥‥ハンデだ。俺は見ているだけにしとく。‥‥この四人を倒せるか?」
誑笥を甘く見ているのだろうか?それとも‥‥‥?だが、これで少しは楽になっただろう。
「‥‥‥」
しかし、誑笥はまだ余裕は持てない表情だった。‥‥何かあるようだ。
「‥‥殺れ。」
その一言で四名の手下が同時に動く。が、誑笥もほぼ同時に動く。誑笥は左側の二人を標的にしたらしく、剣を横に振り切った。
〈ビュン!〉
手下たちは抵抗をする事なく、左の壁へ飛ばされていき、壁に当たった。新しい血が壁に付く。予想よりも弱かったと思ったが違っていた。
二人の手下は平然と立ち上がる。更には流れ出していた血が止まり、その傷が治っていく。‥‥ハンデの意味が解った。そして、誑笥の動揺の理由も解った。
しかし、誑笥はさっきの行動で別れ道の一つを背にしていた。だが、逃げようとはしなかった‥‥いや、出来なかった。その道から新たに二人の手下が歩いてきたのだ。
「‥‥‥」
誑笥は苦痛の表情になる。諦めたのか?両側から手下がゆっくり確実に近づく。
「くそっ!黙って殺られるわけにはいかない!」
誑笥は道の方の手下に突っ込んでいく。無鉄砲にも程があるが、そうも言ってられない。
「そこをどけぇ!」
剣を乱雑に振り切る。しかし、二人の手下は糸も容易く躱し、反撃した。
「ぐふっ!?」
誑笥は反撃を躱せず、直に受ける。刺された場所からは血が吹き出し、誑笥は倒れる。
「‥‥はぁ‥はぁ‥。まだ、死ねない。ア‥イ‥ツを倒す‥までは‥‥。」
そう言ってはいるが、誑笥は身体全体に力が入らないようだ。腕や脚が痙攣していた。ただ、闘志の瞳をしていたが‥‥
「‥悪いが、山崎 皇希も俺が殺す。‥‥殺せればな。」
誑笥の目の敵にしている皇希さえも殺そうとしていようだが、何処か自信なさげだった。
「‥‥‥」
誑笥は目を閉じた。気絶したようだ。
「楽にさせろ。」
その一言で誑笥の身体に次々と傷が造られていく‥‥‥。