reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-3
「‥‥いいだろう。俺を甘くみるなよ?」
皇希は片手剣を出し、いつもの構えで立つ。
「ワタシは統神 零歌(とうがみ れいか)ね。覚えておいてねぇ?忘れなくなるから?」
零歌はそう言い、片手剣を出し皇希と同じ構えになった!幻想具現化を出し、構えも同じなのが驚きな出来事だ。
「‥‥‥」
だが、皇希は驚く事も焦る事も無く平然としていた。しかし、殺気を放つ剣の握りを更に強めた。表情は悪魔に魂を売ったような顔だった。
覚醒時に現れたあの時の光景に似ていた。優しさを拒むような、一人でいる孤独感に浸っているような皇希‥。他人の存在を自分に近寄らせないとしているように思えた。
「ふふっ、そんなに殺したいの?ワタシたちを?それとも‥‥?でもねぇ、無理難題なのぉ。」
そう言い終わると、零歌は姿が消えた!
〈ヒュン!!!ギィン!!!‥‥ズザァァ!〉
いつの間にか、皇希の後ろに居た。凄まじい速さの剣速だったが、皇希は剣で受け止めた。だが、勢いで後ろに下がってしまった。
「まあまあねぇ。その場で耐えないとねぇ?」
「くっ!うるさい!」
皇希の顔には余裕を感じられなかった。珍しい事に興奮状態だ。それにしても凄い腕力だ。あの細身の腕からとは思えない力だった。
「あれぇ?いつもの冷静さはぁ?ふふっ。」
零歌は軽く笑う。挑発しているから余裕なのであろう。皇希を子供扱いしているようにも見えた。
「‥‥‥ふぅ‥‥‥‥ふぅ‥‥‥‥‥」
皇希は呼吸を整え始める。構えは変わらないが、違う雰囲気が皇希を包み込む!
「我流剣技、瞬技・疾風‥‥」
〈ギィン!ギィン!ギィン!〉
「甘いわよぉ。知っている技が当たるはずがないわ。」
何が起こったのか、理解が出来なかった。ただ、皇希はその場に居て、零歌は剣を少し動かしただけだったが、その剣に凄い衝撃だけが来た。
「‥‥無理か。俺に勝ち目がない事ぐらい知っているだろう?‥‥お遊びはここまでだ。」
皇希は幻想具現化を消して先に行こうとする。
「ふふっ、暗殺系の移動と攻撃を同時に出すなんて、天才ねぇ?」
零歌のその一言で皇希は立ち止まる。
「暗殺の最高移動術・刹動(せつどう)。加えて、暗殺の最高攻撃術・闇撃(あんげき)。音と風が無い疾風怒濤の暗殺攻撃。」
零歌は笑顔で言う。たった一撃で全てを見切ったようだ。零歌の目の動体視力が凄まじい。いや、知っている‥‥??
‥‥皇希は初めてやったはずなのに?また、黒神 闇の攻撃方法はこの二つの事かも知れない。