わたしと幽霊‐痛み‐A-5
「何言ってるんだお前。あぁ更紗気にするな。こいつはいつもこうなん…」
「いいわよ」
彼女が静かに高谷さんの声を遮る。
一瞬言葉に詰まる彼…でもすぐに、
「いや駄目だ。今の話はなかった事にしろ。更紗、悪かった」
強く言い切る。
その言葉に、すぅ…と、またいつもの艶っぽい表情に戻った彼女。
「後から文句は受け付けないわよ。女同士だし、あなたなら私の気持ち…分かってくれるだろうから。
アケミ…覚悟してね♪」
軽い口調でそう言った彼女は、いきなりあたしの後ろ頭をぐいっと引いた。
そのまま、更紗さんとあたしの額がごちん、と当たる。
「いたたっ…」
「すぐ終わるわ」
そう、低い声が間近から聞こえた瞬間――…
凄い勢いで彼女に吸い込まれるように、あたしの意識は闇に落ちた。