SLOW START Z-2
「もう〜切れたかと思ったよ。」
『ごめんごめん。で、明日どこ行く?』
「ん〜そうだなぁ…」
どこに行くか、何時に待ち合わせするかなどを決める。
40分程話しをして電話を切った。
明日は映画に決まりだ。
今話題の泣ける恋愛モノらしいが普段、洋画しか見ない私はあまり期待しなかった。
…よし!とりあえず何着てくか考えよ!
久しぶりのデートということでテンションは更に上がる。
クローゼットを開け、めぼしい服を全部引っ張り出す。
スカートがいいかジーンズがいいか、寒かったらどうしよう、この服に合う靴あったかな等…女は大変だ。
ニ、三時間ほど一人ファッションショーを開催しやっと明日の衣裳が決まる。
ついでに髪型と化粧も決めた。
ふと窓の外に目をやると、もう暗くなっている。
カーテンを閉めてテレビをつけた。
ニュースを見ながら夕食を作る。
…今日は〜冷凍の煮込みラーメンにしよ。
約10分で出来る夕食を作り一人で食べた。最近きちんとした料理をしていない事は気付かない振り。
しばらくテレビを見ていると、さくらが帰って来た。いいアパートが見つかったらしくご機嫌だった。
「よく一日で見つけたね」
「あたしもビックリ〜まぁ神様は馬鹿男よりあたしの味方だからねぇん」
さくらに明日のデートの事を話し、服を見てもらった。
順番に風呂に入り早めの就寝。
朝、私が起きるとさくらはもういなかった。
テーブルの上の置き手紙には、
《泊めてくれてありがと。がんばれ〜》
と書いてあった。
私はシャワーを浴び、一応お気に入りの下着を選ぶ。
…何にもないとは思うけどバラバラよりはね…
下着を着けていると先輩の顔が浮かんだ。
…思い出しちゃった…あの時先輩…可愛いって…
ハッとして先輩の顔を頭から消した。
いい思い出ではないはずなのに勝手に顔が熱くなる。
朝食を軽く食べ、歯を磨いてから昨日決めた服に着替える。
袖が長めの黒いバルーンワンピにハイソックスを履いた。
ワンピの裾から少し見えるフリルが気に入って買った。
髪は軽く巻いてケープでセット。
化粧も濃すぎず薄すぎずを意識して…最後にグロスを塗り完成だ。