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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?4〜順調で幸せな一日と難問の前兆?〜-5

そこから、数拍。
ぼふ、と誠司の顔が赤くなる。
「ひ、人を節操なしみたいに言わないでくださいっ」
声の調子を落とし、玲にしか聞こえないようにして、誠司は精一杯、否定を主張する。
だが、それこそ彼女の欲した反応。玲は笑みから妖艶の面を取り払い、その代わりに微笑の面をはめこむ。
「ふふ…ちょっとからかっただけなのに、本気にしちゃって……可愛い」
「じょ…冗談、だったんですか……」
しょげる誠司。その様子を見た玲の笑みは、困ったような表情へと変わってしまった。
どうやら、からかった事に対する罪悪感が生じたらしい。
彼女は慌てて、誠司に向かって弁明する。
「ご、ごめんなさい。悪気があったわけじゃないの。ただ、もし誠司君が『待てない』って言ってくれたら、それはそれですっごく嬉しいから、聞いただけで…」
「…本当、ですか…?」
誠司が、顔を上げる。
その動作を、立ち直ったのだ、と解釈した玲は、それを後押しすべくうんうんと頷く。
「そ、そうそう。それに、待てないのは私もだし…」
「へぇ…そうなんですか…」
「う、うん。だから……」
と、そこで。
言いかけた玲の口が止まった。

――何故なら。

笑っていたのだ。
しょげていたはずの、誠司が。
彼はにこにこしながら、玲に向かって呟く。

「…実は玲さんの方が期待してません?」

今度は玲が頬を赤らめる番。
「…ゆっ…誘導尋問、したのっ?」
テーブルの上に乗せた手を握りしめながら、玲は肩を震わせた。一方、その様子にもにこにこしながら、誠司は彼女に言う。
「だって、もう1ヶ月も経ちますよ?玲さんのペースにも、もう慣れてきましたから」
「うぅ……一本、取られたわ」
玲は悔しそうである。すると誠司は、にこにことした笑みから若干の苦笑に、表情を変えた。
「いいじゃないですか、一本くらい。俺なんて玲さんに何本も取られてるんですよ?」
「…それもそうね」
すると、少しむくれていた玲の表情が、思案げなものに変わる。
「…やっぱりだめ」
が、すぐに逆戻り。誠司は苦笑したまま、問う。
「どうして、ですか?」
「だって、誠司君の場合、一本が何本分にもなるんだもの」
対する玲の答えは、ほとんど断言。彼女は人差し指を突き立て、口を尖らせてみせた。
「こっちは数で勝ってるけど……誠司君、一回が意外と強いのよ?」
「…は、はあ…」
対する誠司は生返事。それは玲に、ため息をつかせてしまう。
「…自覚ない?」
「えぇ…まあ…」
「…ならいいわ」
そして、彼女はやれやれとかぶりを振り、腕に巻いた時計――見た限り、あまり高価そうには見えない――に目をやる。その後、誠司に視線を向け、再び口を開いた。


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