わたしと幽霊‐痛み‐@-4
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それからというもの。
「亜子〜また午後フケてゲーセン行かね?」
「あら、そんな幼稚ぃ所よりもっと楽しい所に連れて行ってあげるわ」
「うわマジ?ってかこの前みてーなクラブとか無理だしってか金足らね!」
「あらあら」
「…………(汗)」
休み時間の合間に繰り広げられるそんな会話を、あたしはジトーッと見ているしかなく。
クラスの皆は、いきなりキャラ変した亜子に疑問を抱かないのだろーか…
うわぁ〜ん…あんなん亜子じゃないよぉ…
亜子はあたしが言うのもなんだけど、確かにカワイイ。
でも癒し系美少女であって、あんな机の上に座って足組んで太ももギリギリ妖艶な笑みなんて絶ッ対にやんないタイプなのっ!!
高谷さん〜…
あたしは救いを求めるように高谷さんを見上げた。
「…ああなったら最後だ。奴が飽きて出るまで手の施しようがない」
高谷さんも、心なしか気の毒そうな眼差しで亜子の痴態(?)を眺めている。
高谷さんの力で引きずり出すとかできないの??
「それは無理だな。俺よりもアイツの方が念が強い。霊の世界は腕力じゃないからな」
バツの悪そーな高谷さん。
念…それって、今生に残した無念とか、恨みとか、その重さの違いとか?
「まぁ…そんなところだ」
ふぅん…そうなんだ。
髪をかきあげながら高笑いしてる亜子に、お姉さんが重なって見える。
じっと見つめた。
――今生に残した何か。
至って楽しそうにしている彼女の胸に眠る無念。
想像もつかないけど…
でも。
手当たり次第乗り移って気晴らしなんて…ゼッタイよくないよ、お姉さん。
強引に憑かれた人の気持ち…考えなょ…
「…………」
その時のあたしには。
あたしを見下ろす、高谷さんの静かな視線に気付いていなかった。