**王子様の秘密**-4
「驚かせてごめんね。ひより、泣き止んで?」
先輩は私をずっと抱き締めてくれて、子供にそうするように背中をなでてくれていた。
私、何でこんなに泣いてるの?
あぁ‥‥
そうか‥‥
片桐先輩のあんな姿を見たからだ。
私、結構本気で先輩のこと好きだったんだ‥‥。
失恋で泣くなんて何年ぶりだろう‥‥。
「大丈夫?落ち着いた?」
先輩は制服の袖で私の涙を拭ってくれた。
出てこないでとか思ってたけど、先輩がいてくれてよかった。
もし一人だったら今頃どうなっていただろう‥‥。
「ありがと‥‥ございます。」
ちゃんと聞こえたわからないけど、先輩が優しく笑ってくれたからまた泣きそうになった。
「ひより、あんして?」
「ふぇ?」
「ほら、早くあーん。」
「あーん」
カランという可愛らしい音と共に甘い香りが口に広がった。
「これミラクルベリーハートって言ってね、イチゴももいろ星のアメで5個入り36000円でちょっと高いけど向こうは日本より物価が高いから仕方ないんだよね。どう?おいしいでしょ!!元気でた?」
「はひ、あひがほうござひまふ。」
片方によせたら頬が大きく膨らんでしまうくらい大きなアメ。
口のなかの甘さと先輩の香水の甘さでなんだか、眠くなってきた。
今日たくさん寝たのに、それ以上に疲れちゃったのかなぁ‥‥。
本当は先輩に、このアメぼったくりじゃないですかとか国際的すぎる物流動じゃないですかとかいろいろ言ってやりたかったけど、今はこの甘さに救われたから黙っておいてあげよう。
二つの甘さに酔いしれて先輩の胸で瞼をおろした。
つづく。