やっぱすっきゃねん!U…@-4
「…あのよォ」
再び直也が声を掛ける。
「…お前…課題終わったか?」
話題の変化に意味が分からない佳代。
「なにそれ?」
直也は困った顔で、
「…いや…お前は終わったのかな…と…」
「とっくにね。アンタ、まだなの?」
「…それが、まだ半分も出来てない」
さすがに佳代は俯いていた顔を上げると、
「ばかぁ?やる気あるの」
いつもなら悪態をつくところだが、直也は困った顔のままだ。
そんな姿を見て、佳代はため息を吐くと、
「見せてあげるよ…」
「ほ、ホントか!」
直也は、思わず手をすり合わせて頭を下げる。
「1日には持って来てよ」
「分かってる。すまない」
直也は佳代の自宅へとついていった。駐車場の隅に自転車を置いて、荷物を抱えると〈ちょっと持って来るから〉と玄関前に待たされた。
中からドタドタと階段を上がる音が外に聞こえてくる。
(アイツ、女の階段の上がり方じゃねえな)
などと思いつつ直也が待っていると、再び佳代が現れた。
「はい。これ」
手には数冊の課題が握られていた。
「スマン」
直也が受け取ると、
「アンタ、課題もだけど実力テストもすぐにあるよ」
「エッ!」
初めて聞いた、という顔で驚く直也を見て佳代は呆れた口調で、
「言ってたじゃん。休み明けすぐにやるって…」
肩を落とす直也。これから先の事を考えて、しょげかえっている。
だが、佳代はそんな事おかまい無しに〈じゃあ1日にね〉と言って玄関ドアーを閉めてしまった。
「はあ…」
ため息を吐きながらトボトボと帰ろうとする直也に、佳代は2階の窓から声を掛ける。
「ナオヤーッ、有理ちゃんに教えて貰ったら?」
直也は顔を赤らめた。
「ウルセエ!」
一言悪態をつくと、走って帰ってしまった。
(…可愛くないヤツ……)
佳代はニヤニヤと笑いながら、走り去る姿をしばらく眺めていた。