投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 86 やっぱすっきゃねん! 88 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…@-2

ー夕方ー

夏休みの練習日程が終了した。明日からの、残り2日間は休んで新学期を迎える。

そんな中、榊が皆を整列させた。
最初はいつものミーティングだったが、〈ああ、それから〉と前置きをすると淡々と言った。

「オレは本日をもって監督を辞める」

(エッ……?)

部員達がざわめく。佳代は榊の言った意味が分からなかった。

再び榊が言葉を続ける。

「始業式で発表されるが、私は東海中学へ異動となった」

榊は部員ひとり々を見渡し、言葉の意味が浸透するのを待ってから続けた。

「従って、本日をもって監督を永井先生にお願いした」

榊の言葉が終わると同時に、部員から手が挙がった。

山下だ。

「永井コーチが監督をされると、新しいコーチはどうなるんですか?」

「それは永井監督から説明してもらう」

榊はそう言って永井に発言を促す。永井は少し緊張した面持ちで1歩前に出ると、語り始めた。

「しばらくの間、平日は3年生にカバーしてもらう。土、日については臨時コーチを〈ある人〉にお願いしている」

(…ある人?…新しい先生かな…)

再び手が挙がる。今度は直也だ。

「それは誰ですか?」

直也の質問に永井は困った顔で、

「それは当日発表する」

そこでミーティングは終わり、解散となった。


練習後、榊と永井は職員室で休憩していた。
永井が冷蔵庫のスポーツドリンクのボトルを手渡しながら、

「榊さん。長い間、お疲れさまでした」

永井がしみじみとした表情で言った。

「13年間……何だかアッという間だった」

「でも、その間に8回の県大会でしょう。榊さんの尽力の結果ですよ」

榊はタオルで汗を拭うと、ボトルを開けて、ひと口飲んだ。

そして、遠い目をすると、

「最初が強烈だった。あれ以来、ずっとそれを追い駆けていた」

再びボトルを傾け、一気に半分ほど飲むと永井に目を移して、

「結局はダメだったが……」

「それが藤野一哉…ですか?」

「ああ。あんなヤツは初めてだった。全国制覇した時も、あいつの球を打てるヤツなんていなかった…今でも鮮明に覚えてる……」

昔の思いを熱く語る榊に対して、永井は不安な顔で、

「でも、私なんかに務まるでしょうか?なんだか不安で……」

榊は笑顔を浮かべ、優しい口調で答えた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 86 やっぱすっきゃねん! 88 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前