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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜
【ファンタジー 官能小説】

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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜-2

「どうやら、ガセじゃないようね。月狼が神人の反応を見つけたわ。普通の神人に比べて反応が微弱のようだけど間違いないわね。この先の噴水近く、…この小さな熱源は街灯のようね、その付近にいるわ」
 月狼、専用バイクに搭載されているディスプレイで神人の反応を照合するダイアナ。
「この辺りの封印は破られた形跡はないのか?」
 葵は訊ねるが、ダイアナは首を横に振った。
「この公園近くは勿論、半径五十キロの圏内には破られた封印はないわ」
「ちっ!監視衛星と同じ事を言いやがる。まあ、どちらにせよこの先の噴水に正体不明の神人がいるって事だよな」
 ダイアナの言葉に、葵は舌打ちをすると、その噴水の方へ向けて走り出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ、葵ぃっ!」
 ダイアンは慌てて月狼を切り返すと、葵を追い抜いて噴水へと駆けつけた。遅れて到着する葵。
「おい、ダイアナ、…ありゃあ、一体ぇ、何だ??」
 葵は呆然と立ちつくすダイアナに声を掛けた。はっとして我に返るダイアナ。
「わ、私に訊いたって…」
 口ごもるダイアナ。目の前にいる怪物はこれまで見てきた神人とは少しかけ離れていたからだ。
 神人というのは神の系統でその裔を言う。当然、人間とは異なる容姿をしているが、動植物の姿をしていることが多い。半獣半人や巨大生物と言ったところなのだが、目の前のそれは人間の奇形種に近かった。少年の身体の内部から大型の軟体動物が飛び出したような姿をしていて、それがそのまま癒着してしまったような感じを受ける。もげた首が肩口のところで逆さまに張り付いており、それがまだ生きていた。少年の物であろう学生服を着ており、あろう事かOL風の女性を凶暴な生殖器で刺し貫いていた。
 怪物は葵達の存在に気がつくと、女を腹の上に抱えたまま立ち上がった。その拍子に、足下に転がっている男の生首を踏み潰す。
 怪物の犠牲者なのだろう、よく見ると足下にはバラバラに引き裂かれた男の死体が転がっていた。背広姿であるところを見ると、女性の恋人であったかも知れない。
「いや、いやぁあっ!お願い、見ないでぇっ!?」
 涙で顔をぐしゃぐしゃにした女性が、葵達の存在に気が付いて泣き叫ぶ。しかし、怪物は女性を離そうとはせず、赤ん坊にオシッコをさせるような体位で立ちあがった。どろどろと溶け、濡れそぼった肉花には女の腕ほどもある生殖器が頭を潜り込ませ、にゅるにゅると蠢いている。
 陰惨な光景に眉をひそめるダイアナ。葵はその様子に顔を背けることもなく、汗ばんだ手で懐の中の銃を握りしめた。
「と、ともかく、何処へも逃げられないように結界を張るんだ…」
 圧倒されながらも、葵はそう言ってダイアナの方を見た。ダイアナはきっぱりと頷くと、月狼のタンクに展開するキーボードを操作し始める。ダイアナのしなやかな指が鍵盤の上を優雅に踊り、それに合わせて明滅するコンソールパネル。
「泰山封神陣を…」
 ダイアナの言葉と共に月狼のフロントカウルが開き、そこから顔を出したライトから怪物上空に封神図が映し出される。光の封神図が輝きを増し、その瞬間、怪物と葵達は副位相空間へと移動した。一見すると景色に変わりはないが、そこは位相のずれた異空間である。
「女を解放しろっ!!」
 怪物へ向かって銃を構える葵。

 数日後。
 東京郊外にある閑散とした神社に、葵とダイアナは訪れていた。この神社、名を桜龍神社と言い、巨大な桜の木を御神木として祀っていたがこの桜の木は久久能智神(くくのちしん)という樹木を司る神が、邪悪なオロチを封じたとされている。
 そしてその神社に仕える巫女は守り人として代々オロチ御霊(ミタマ)を鎮めてきたという。その巫女の血筋こそが、現代に受け継がれた数少ない霊能力の血筋であり、真に神人と対抗し得る力の一つであった。
 現代に於いて本当の霊力を持った巫蠱、方師、呪い師等は数が少ない。その為、鎮魂機関に席を置いている人間以外にも、力ある巫女や神主に仕事を依頼することがあった。そして葵達がこの桜龍神社を訪れたのも、久久能智の巫女に助力を求める為であった。
 二人は使用人に案内され、客間へと通された。十畳ほどの広さで天井は高く、小さいが手入れの行き届いた美しい庭が一望できる。


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