サクラゴコロ プロローグ-1
昨日なかなか眠れなかった俺は、ベッドから起きるとまずキッチンへと向かった。そして紅茶を飲む。そして身だしなみを整えて家を出る。寝不足気味の身体で、いつものルーティンをこなして家を出る。おっと、自己紹介まだだったな。名前は真田 修士(サナダ シュウジ)高校2年だ。この物語は基本的に俺目線で書かれている。まあ、作者の文才のせいで読みにくいところやおかしなところがあるだろうが、断じて俺のせいではない。文句は作者に言ってくれ。では本編の始まりだ。
「おはよう!今日もテンション低いね。低血だっけ?」
この声は、隣りに住む幼馴染みの桜川 詩織(サクカワ シオ)だ。いつも明るく人付き合いも良い。顔は、笑顔が可愛い感じで童顔だが、たまにかける眼鏡が、ぐっと大人っぽくみせる。
俺は、「ああ」とだけ答えた。
「夜遅くまで起きているからだよ。昨日も3時くらいまで起きていたんじゃない?」
「ああ」と答えかけふと思う。『なぜ知っているのか?』と。それを読み取ったのか詩織は続けた。
「私も、その時間くらいまで起きて勉強していたからね。」
まったく耳の痛い話だ。真面目な詩織となにかと比べられてきた俺にとっては。
「そんなに不思議なの?私が勉強していると。」
「いやそういう訳じゃないさ。」
「私は修士と違って基本頭悪いからね。ちゃんと勉強しておかないとついていけないのよ。」
「またまた御謙遜を。秀桜の三賢人ともあろうお方からそのようなお言葉が聞けるとは。」
「もう、またそんな言い方して。まあ、修士が言っても説得力がないけどね。授業は寝ているかサボり。それなのに、英語以外では毎回私達とトップを争う人のね。」
自慢じゃないが事実だ。英語もできないわけではない。洋画くらいなら字幕なしでも見ることができる。
「必要最低限の授業は出ているよ。まあ、普通よりはすこし?少ないかな。」
一応、県内随一の進学校の我が秀桜学園だが、あまり出席にはうるさくはない。
「少しどころじゃないでしょ?去年はギリギリだったじゃない。あと三日休んだら留年だったでしょ。」
「確かそうだったな。」
「まあそれでも、私達と同じAコースに入れたんだからやっぱり修士は凄いよねぇ。」
秀桜学園には、A〜Dまでコースがある。Aコースは特進コース、Bコースはスポーツ特待コース、Cコースは進学コースそしてDコースが普通コースだ。
「俺も勉強はしっかりとしているよ。無駄に授業に出ているやつよりはな。」
「それって私も入っているの?」
「無駄に授業に出ているやつって言うのは、あんな授業を聞いているだけで勉強している気になっているやつのことを言うのさ。」
「手厳しいわね。そんな事ばっかり言ってるから先生に嫌われるのよ。」
あまり出席していない俺が特進にいることを快く思っていない教員は多い。
「別に無理に好かれたいとは思わないさ。」
「でも、その分女の子には人気があるみたいだけどね。」
「なっっ!」
「うふふ。じゃあ私用事があるから先に行くけど修士もちゃんと学校に来るのよ。」
そう言うと詩織は先に行ってしまった。
「オッス!」
詩織がいなくなった後、一人考え事をしながら歩いていた俺は、いきなり後ろから背中を叩かれた。
「なんだ、竜馬か。」
後ろからやって来たのは、親友で同じ秀桜学園に通う石倉 竜馬(イシクラ タツマ)だった。竜馬は、日本でも有数の財閥である石倉コンツェルンの御曹司だ。ただ、本人にはまったく跡を継ぐつもりはないらしい。誰にでも気さくで人望もある。今は、生徒会長をしている。