「美女と野獣・・・」-87
オレはこの時初めて自分にSっ気がある事に気付いた。
エロビで度々見る事の出来る顔射に興奮し、
当然誰しもがそうだと思い込んでいた。
バッチリと化粧を施した、女性の最も意識する部分である顔に目掛けて
男にしか持さない究極の液体を発射する顔射こそが、
我々男性陣の誇りであり、救いであり、そして楽しみなのだと。
ところが実際はそうでもなかった。
周りの友人に話してみると、皆が皆、口を合わせて「変態だ」と言う。
変態?変態なのかオレが?
絶対みんな顔射したいに決まってる・・・
ただただ心に秘めて、打ち明かさないだけに決まってる・・・
いくら仲の良い友人だからとはいえ、水臭ぇなぁまったく・・・
今思えば、オレはなんて幸せな野郎なのかと心底そう思う。
オレが世界の中心なのだとばかり思っていたが、実際はそうではなく
隅の隅のほんと隅っこの方で生を許された、ごく僅かな変態者だったのだ。
それからというもの、自分が無類の顔射好きである事、
自分が極度の変態である事に、逆に強いこだわりと誇りを持ち、
内に秘める事無く、誰にでも打ち明かしていた。
だがしかし、変態を認めてはいてもサドとは認めておらず、
そもそもSM自体プレイした事が無かったので
好きか嫌いか、良いのか悪いのか、
顔射=変態は認めても、変態=Sなのか、
全く持ってそれは分からないままだった。
それが今こうして目の前でRが数人の男優に囲まれ、
悶絶打ってあえぎ苦しみ、綺麗な顔を汚辱され、なのに乱れ狂って
壊れていく姿を見て、人生最大の発見を自ずと切り開いたのだ。
あぁ、オレはSなんだ、と。
ド変態なドSなのだ、と。