「美女と野獣・・・」-8
その3
Rにとって初めて他人の手がパンツの中へと侵入した瞬間だった。
付き合っている彼と言えども、合意の上でその様な状況に達した訳ではなく、
半ば強引に、いや、むしろ強姦と呼ぶに相応しい状況下で犯されようとしていた。
「ちょっと!やめてよっ!いい加減にしてよっ!!」
彼の腕を無理矢理引っ張り、パンツの中に入った手をなんとか出そうとするが、
なかなかビクともしない。
「うるせーな!静かにしてろってぇ!!」
「やめてってば!もう!ちょっ・・・誰かたす・・!ンプ・・・・・」
パンツから咄嗟に手を抜き、再びRの口を塞ぐ。
「てめー!いい加減にしろよコノヤロー!騒ぐなっつってんだろーがぁ!」
「・・・んーんーーっ!!」
呼吸すらまともに出来ない程に強く口を塞いでいる手をどけようとしても
彼も相当必死になっているのか、これまたビクともしない。
「ちっ・・・危なくてしょーがねー。ったく・・・」
片手一本で後ろから強く抱き、Rの口を塞ぎながら、
彼はRの背中を押すような格好でズルズルと歩き出した。
「おら!ちゃんと歩けよ!暴れんじゃねーぞ!」
「・・・んーーーっ!!」
精一杯の力を込め、なんとか振りほどこうと、なんとか抵抗しようと必死に暴れるが、
力も身長も差が有りすぎる。
半分体を持ち上げられ、地に足が着いていないのではと思うほど、
いくら力を入れても前へ前へと押しやられる。
舞台裏の隅の階段の前まで来た。
数週間もしくは数ヶ月もの間、誰一人ここへ訪れた者がいないのか、
階段にはかなりの量の埃がちり積もっていた。
「上がれよ。早く!」
「・・・んー!んーんーーっ!」
Rは階段に足を掛け、それ以上進めない様に今度はちゃんと抵抗する事が出来た。