「美女と野獣・・・」-71
時間というのは酷なもので、一生Rの事が頭から離れないだろう、と
当初は思っていたが、時間が経つにつれ、日が経つにつれ、
気持ちは薄らぎ、熱は和らいでいった。
ただ、記憶だけは鮮明に覚えている。
忘れようにも忘れる事の出来ない悲惨な事実。
オレにしか見せない無邪気な笑顔。
話し合い、笑い合い、幸せな時間を過ごしたほんの一時。
別に楽しくもないのに、流れる様に時が過ぎていった。
Rを見習うべき、と誓った事すら頭から離れ、
どうでもいい事に時間を費やし、
向上させるべき事を疎かにする。
時間を無駄にしているその時には無駄と気付かず、
必ず後になって無駄だったと気付く。
大学とは自分を向上させる所であり、
自分を堕落させる所でもある事を知ったのはつい最近だ。
そんなオレにも新たな彼女が出来た。
Rと比較する事も無く、彼女は彼女で最高に可愛かった。
心も洗練され、誰にでも愛される様な明るい子だ。
異性の友人も多かったが、同性の友人の方が遥かに多かった。
それだけ彼女には人気があり、魅力があり、必要とされる要素があるという事。
少なからずオレ以外の連中には、それらをRから感じる事が出来なかったという事。
まぁそれは過去の話。過去の事。
今は全力で今の彼女に愛を注ぐ事が何よりも大事。
オレと彼女は順調に愛を育み、一人暮らしのオレん家で昼間っからSEXしたり、
暗闇の中でカーセックスをしたり、何か事ある毎にSEXをしていた。
たまに財布が分厚い時だけラブホへと足を運び、
普段と違った場所でやるSEXがいかに興奮するかを楽しんだりもした。
それが何回目のラブホ訪問かは忘れたが、その日もいつもと同じ様に
甘い空気に包まれて、気負いながらも財布の中身を確認してから
ラブホへと車を飛ばした。
バイトをしていると言えども、学生の身分では豪華なラブホへはさすがに行けない。