「美女と野獣・・・」-70
その21
人生の約2/3である11年間捧げたサッカー部を高2で辞め、
今まで部活に精を出していた元気を遊びへ移行させた。
元気といっても、Rが転校してからのオレは空元気。
顔で笑って心で泣いている、そんな状況だった。
消印の無い手紙は、誰かが直接ポストに投げ込んだ事を意味する。
何の根拠も無いが、アレはR本人がオレん家のポストへ投げ込んだものだと確信していた。
だからどうという事もない。
Rの所在も探さず、以前住んでいたであろう場所へも足を運ばせなかった。
RはRで自分の道を切り開くのだろう。
あんな辛い思いをして、なのにあんな前向きな手紙が書けるRが羨ましかった。
見習うべきなのはオレの方だろうに。まったく。
高3になり、周りの連中が次第に進路を決めていった。
就職するヤツ。
専門に行くヤツ。
短大へ行くヤツ。
四大へ進むヤツ。
勉強するヤツとしないヤツの真っ二つに分かれ、
だがしかし、オレはというとその中間に位置していた。
自分では勉強しているつもりになっていて、
だけど親や友人からは全く勉強していない、と見られる。
別にどう見られようが全然気にしない。
最後に笑ってられるヤツが勝ちであり、
そうでないヤツが負けなのだ。
勝ち組、負け組。
人生にはこの2通りしか存在しない。
勝ち組になった気分は更々無いが、
オレはなんとか大学の門をくぐる事が出来た。
新しい学校、新しい仲間、新しい生活。
心も身体も心機一転である。