「美女と野獣・・・」-64
絶望と空虚を一度に味わい、一日にして屍と化したあの日から1ヶ月が経った。
既に冬服へと衣替えを終えている生徒達の目を他所に、
オレは替わりゆく季節をも感じ取れない位に落ち込み、
今思えば、肌寒い秋風よりも冷たくて暗い人間となっていたのかもしれない。
結局あの日、引越しのトラックが停まっている事も無く、
Rの家も、Rも見つける事が出来なかった。
後になって在学中のRの住所を担任に聞いたら、
オレが果てしなく探し歩いた所とは全く別の場所だった事が分かり、
謎が謎を呼んでオレの頭はパニックに陥った。
イジメた生徒達。
イジメを見破らない教師達。
イジメを見逃す学校側。
助けてやれなかったオレ自身。
全てが気に入らない。
全てが頭に来る。
全てが・・・全てが・・・・・畜生ーっ!!
オレはこのまま堕落していくんだ。
誰も止められない。誰にも止められない。止められるのは・・・
そう。Rだけ。
神がいるのかいないのか分からないが、
ある日、精根尽き果てたオレに天からの贈り物が届いた。
その手紙には差出人も消印も無かったが、すぐに分かった。
『Sくんへ』