「美女と野獣・・・」-61
めでたいその日に終わりを予想する者はいない。
オレもその一人。決して例外ではない。
Rと付き合いだしたあの日。
なかなか帰る事が出来ず、バイバイを言うに言えなかった。
次会う日は?次の日?その次の日?そのまた次の日?と、
その場で聞くべきだった。
部活?
そんなもん、二の次三の次。
サッカーに明け暮れる日々?
それはもう昔の事。
彼女に会いたい。Rに会いたい。Rと語りたい。Rと笑い合いたい・・・
一日一日がこんなにも長いなんて、生まれて初めて気が付いた。
連絡が取れなくなってもう2週間・・・
待ち合わせた公園付近を歩き回り、Rの家を探し漁った。
何度も何度も行ったり来たり・・・
何往復もした。
何気に公園から近くないのかも・・?とも思い、
日が経つに連れて捜索範囲を広げていった。
ありふれた苗字だったので、知らぬ家に尋ねても皆、口を揃えてただ知らないと言うだけ。
なんで・・・?
なんでだ・・・?
なにがどーした・・・?!
何故連絡が取れない・・・?
長かった夏休みも、明後日から始業式の今となっては短すぎとしか思えない。
クソ長い一日。にも関わらずクソ短い夏休み。
学校が始まればRに会える、とも思ったし、
学校が始まる前にRの家を見つけたい、とも思っていた。
しかし実際にはそのどちらも叶う事は無かった。
この上なく重い足取りで、なのに早足で2学期の始業式へと向かった。
体育館の人混みの中を、ついついあの笑顔のRを探してしまう。
あぁ、そーだった・・・
地味を演じてるんだっけ・・・
眼鏡かけてるんだっけ・・・