「美女と野獣・・・」-59
経験があまり無くっても、知識が全然無くっても、
そこから小便が出る事位は知っている。
そこから精子が出る事位は知っている。
汚物を排出するその汚らしいブツを口に挿入された時、
この上ない屈辱感、劣等感に陥ったと同時に、
小さい頃に、親と見ていたTVが突然ラブシーンになった時の様な
何ともいえない恥ずかしさとイヤラシさに包まれた。
その僅か一瞬だけ、赤の他人に犯されているという現実から解き放たれ、
心の内に潜む何かが芽生え、いや、目覚めようとしていたのには
幸いにも気付かなかった。
次第に蘇る感触。
喉の奥底で冷ややかな金属が触れ、激しい気持ち悪さに襲われた。
このままでは噴水の様にゲロを噴射するのでは?とさえ思った感触。
自分の身体が前後に揺れている事しか分からなかったが、
アソコに激しくブツを出し入れされている感触。
喉奥に得体の知れない苦くて生臭いドロドロの液体が一杯に広がる感触。
だがしかし、それらが麻痺が解けているという意味を持つ事の解釈にはならなかった。
犯されている事に変わりは無い・・・
だけどさっきまで流していた涙はもう出てこない・・・
身体が動かない事に変わりは無い・・・
だけど私の奥まで到達するこの感触は何故か・・・
そう・・・何故か・・・心地良い・・・?
激しい突きによる悶絶。
このままだったら私は・・・どうなるの・・・?
壊れちゃう・・・?砕かれちゃう・・・?
動かないはずの両手がしっかりと草木を握り締め、
逃れられない快感地獄へと真っ逆さまに落とされる。
焦点が合わなかった視線は、いつしか赤髪の目の奥一点を見つめ、
眉間にシワを寄せて悶えるR。
声が出ない代わりに、頭の中で巡りに巡る甘い吐息と淫らな言葉。
それがピークを迎えた時、知らぬ内に口から洩れてしまった生の声。
Rは何も気付いていなかった。
これが単に序章にすぎない事を・・・
オレは何も気付いていなかった。
今夜のRの変貌振りがあくまで途中の段階だという事を・・・