「美女と野獣・・・」-58
「ごめんね。遅くなっちゃって。電話、長くってさ・・・お母さん。」
「いいよ別に。怒られた?いい加減遅いからな・・。マズイよね。」
Rは大きく首を横に振った。
「ううん。ヘーキだった。むしろ喜んでたよ。私が友達と遊んでる事に。あはは。」
「・・マジで?夜遊びなんて久々だから?」
「もちろんSくんとは言ってないから安心してね。架空の女友達。」
「あはは!架空ね。架空。よし!じゃー乾杯しよーぜ!」
「うん!さっきのトコ、行こう。私、喉カラカラだよぉ!」
オレは全く気付いていなかった。
シャツの背中に草や砂の汚れが付いているのを隠す為に、
わざとオレの後ろを歩いている事を。
イガイガの精子を飲み干し、ありもしない違和感、異物感を
川の水でも雨水でもなんでもいいから
早く喉に流し込みたがっている事を。
アソコから滴る白濁液に汚されてパンツにシミを作り、
しかも太ももの内側に垂れた精液が爽やかな夜風によって
カピカピに乾ききっている事を。
「カンパーイ!」
「カンパ〜イ!」
シャンメリーの瓶と瓶とでゴチンッとぶつけ合った。
Rもまた気付いていなかった。
全身麻痺により何も動かず、何も話せず、
ただ出来る事は物音を聞く事と瞬きする事、呼吸する事。
初めて咥えたブツは無味無臭。
太いのか長いのか、そんな事は見ただけで判断がつく程
見定め、見比べた事が無い。
喉の奥までぶち込まれても、嗚咽が出る事も無ければ、
喉の壁にぶち当たっている感触さえ無かった。
唯一感じた事。それは・・・
異性である男の誰しもが持つブツ。
血管の浮き出た生々しいソレは、まるで生きているかの様だった。