「美女と野獣・・・」-42
その14
「・・・堕ろしてるんだ。・・・子供。」
「・・・は?!」
オレは凍りついた。
肌寒くなってきた夜風も寒かったが、
それにも増して体の芯から一気にピシピシッと凍りつく様な感じで。
「オロ・・シテル・・・?」
うん、と小さく頷く。
中2からイジメに遭い、これまでイジメを繰り返されてきたのは話しの流れで分かったが、
子供を堕ろしてるって事は既に経験済みという事か・・・?!
いや、そこは着眼点ではない・・・!
「・・・え?出来ちゃったって事・・?」
Rの首がコクッとなった。
「え?でも・・・堕ろしたんでしょ?」
小さくコクッと頷く。
「いつの話よ?彼氏は?今はどーなってんの??」
頭がパニックになり、嵐の様に次から次へと質問を投げ掛けるが、
Rはオレ以上に困惑してる様子だった。
「・・・ごめん・・ね。」
「なにがごめんなのよ。何で謝んの?堕ろしたからって別に付き合えないのと関係ねーじゃん!」
「・・・・・」
きっと何かワケがあるのだろう、Rはずっとうつむき、涙を流している。
「話してくんねーかな・・。ダメならダメでしょーがないけど、フラレるにしても・・ねぇ。」
「・・・・・ぅん。・・・そうだよね。・・ちゃんと話さないとね・・・。」
何があったのだろう・・・
17歳という若さで子供を堕ろしてるという事自体、日常的でないこと位分かっている。
オレは何を言われても驚かず、正面から受け止めて、
そんなの気にしないから付き合ってくれ、と心に決めていた。
それ位Rの事が好きになっていた。
「・・・私ね・・・・・」
「・・・うん。」
風が吹き、草木がざわめく。
「・・・昔・・・レイプされたの。」
「マジで?!」
驚かないと決めていたが、静かな河原の辺り一面にオレの驚愕がこだまする。