「美女と野獣・・・」-38
その13
辺りを見回すと、ちらほらとカップルらしき2人組みが何組か見える。
手を繋いで歩いていたり、二人並んで腰を下ろしていたり。
寄り添うようにしてイチャついてたり。
さっきまでそこら中でしてた喧しい子供のはしゃぎ声はいつの間にやら消え、
普段はただのつまらん河川敷が、星空満天のムード全開デートスポットと化している。
「けどさぁ、・・・てゆーか・・・つまり地味に見せる為に・・・?」
堂々と聞いていいのかいけないのか分からず、
Rの反応を伺いながら恐る恐る聞いてみる。
「・・・うん。・・・そーゆー事。・・・可笑しいよね。こんなの。はは・・・」
「可笑しくねーよ別に。」
「私ね、人間不信になって、もう誰も信じれなかったし、もう誰とも話したくなかった・・・」
何かつっかえてたモノでも取れたのか、Rが何かを話し出そうとしているのが分かったので
オレはそれを遮らない様に、ただ首で小さく頷く。
「特に男子に話しかけられようものなら身体が震えちゃって震えちゃって・・・目も合わせられなかったの・・・」
ふぅん、と小さく頷く。
「女子とはまだ話せたけど・・・でもなんか・・・私がこんなだからどんどん皆遠ざかってった・・・」
「・・・んー。」
「学校を変えても変えてもやっぱイジメられるんだよね。はは・・は。」
「てか、何回転校したの?」
「・・・いち・・にぃ・・・3回かな。」
「で?その繰り返しで地味な格好に?」
「うぅん。中2で転校してから。目立たなくなるのが一番かなって。アイツキモい!くらいに思われるのが一番かなって。」
「眼鏡かけてあの格好じゃぁ確かに目立たないわなぁ。あぁ、別にオレはキモいとは思ってなかったよ?マジで。」
「うふふ。分かってるよ。長年イジメられるとね、根っから優しい人が分かるの。Sくんはその人。」
「うっそ!マジで?!オレはそうは思わないけど・・?」
嬉しすぎて笑顔がこぼれそうになったが、口元が緩んだだけでなんとか堪えた。